メールマガジン JOLLYのお茶の間バレエ鑑賞記-東京バレエ団「M」-

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2005年11月24日(Thu)

東京バレエ団「M」

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「M」(チャイコフスキー記念東京バレエ団)
【振付】モーリス・ベジャール
【音楽】黛敏郎
【キャスト】小林十市、首藤康之、高岸直樹、チャイコフスキー記念東京バレエ団
【収録】東京文化会館
NHKの芸術劇場で放映された初演時のキャストによるビデオを入手して鑑賞。この「M」という作品は、三島由紀夫を敬愛するベジャールが、彼の代表作に想を得たイメージを織り込んで作り上げたモダンバレエ。「M」にはたくさんの意味が込められているらしい。本人のフランス語でのインタビューによると、「Mysterieux(不可解な、謎の)」、生の象徴の「la Mer(海)」、「la Mythologie(神話)」、「laMetamorphose(変容)」、「la Mort(死)」、そして「Mishima(三島由紀夫)」をも意味し、モーリス・ベジャール本人の名前も、音楽で関わった作曲家の黛(まゆずみ)敏郎も、偶然にも「M」を含んでいるとのこと。いざ鑑賞してみて、改めて三島由紀夫の「仮面の告白」を先に読んでおいて良かったと実感した。バレエ鑑賞というのは、映画とは異なり、全く白紙の状態で観るよりも、ストーリーなどを予習をしたほうが数倍楽しめる娯楽である。しかもモダンバレエになればなるほど抽象的だったり哲学的だったりするので難しい。このベジャールの「M」など、三島由紀夫を読んでいなければ、それぞれの踊りが意味しているものが何なのか、いや、それ以前にキャストの名前(四だとか聖セバスチャンだとか)の意味するところすら、私には訳がわからない作品だったかもしれない。それが「仮面の告白」を読んでいただけで、すべてがピンと来る上に、それぞれの振付やダンサーの踊り方に感動すら覚えるのだから、予習って本当に大事~。それにしても凄いなー、ベジャールさん。フランス人でありながら、三島由紀夫にここまで精通し、「美」「悲劇性」「死」「血」「聖セバスチャン」「同性への愛」「海」といった作品のキーワードに彼の哲学や彼の人生を絡めて一つの作品に仕上げるとは、尊敬の一言に尽きます。ベジャールさんの才能に、私は、この作品で大いに感動いたしました。そして、そキャスティングの絶妙さにも感動。ベジャールさんは、ダンサーの特徴似合わせて振り付けをなさる方。つまり、その振りは、他の人が踊ると魅力を発揮しにくいほどに、踊り手の個性にマッチしていることで有名。そしてそんなベジャールさんが「死」に選んだ小林十市さん。やはり好きだわ。彼のバレエ。私は今のところ「くるみ割り人形」での「猫のフィリックス」と「M」での「死」を踊っている彼しか知らないのだけれど、どちらも性別のない役柄のせいか、踊りにも全く性別を感じさせないサッパリ感があるのです。男でもなく女でもない。いわゆる性的なアピールのない中性的でシャープな踊り。なんだろう、しいていうなら少年のようなサッパリ感。これが妙に好き。「M」の場合は、とくに「死」という抽象的な役柄のせいもありますが、この十市さんの中性的かつシャープさが、とても光っておられた気がします。さすがベジャールさんですね。ダンサーの個性を見抜いた配役&振付だと関心します。しかし、この十市さん、化けるのです。「M」では、一箇所「死」が女性の振りをする場面があるのですが、そこでは、女性らしさ満点の、全く違った踊り分けをなさっています。この踊り分けにはゾクゾクしました。そして、この今回、はじめて首藤さんが踊る姿も見ることができました。なんとなく想像していたイメージのエロスの溢れる官能的な踊りをなさる方でした。今回の聖セバスチャンという役は、少年:三島由紀夫が、初めて性的な快感を抱いた初恋の対象。まさに三島少年を翻弄するようなエロスを踊りで体現しておられました。これは最初から最後までパンツ一枚で踊っているというビジュアル的なエロスだけではなく、体全体、動き全体から滲み出ているといった感じ。しかもエロスを醸し出しつつも、全然いやらしくないのです。このあたりに三島由紀夫の小説の文体との共通点を感じて、ひとりで感動しておりました。小林さんと首藤さん、全く対照的な踊りをなさるダンサーなのに、どちらの踊りも魅力的でした。

仮面の告白仮面の告白
三島 由紀夫


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