メールマガジン JOLLYのお茶の間バレエ鑑賞記-パリ・オペラ座バレエ『メディアの夢』 -

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2006年09月07日(Thu)

パリ・オペラ座バレエ『メディアの夢』

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パリ・オペラ座バレエ『メディアの夢』
Le songe de médée(medea's dream)
【収録】 2004年 パリ・オペラ座ガルニエ宮
【振付】 アンジュラン・プレルジョカージュ
【音楽】 マウロ・ランツァ
【出演】 メディア:マリ=アニエス・ジロー
     イアソン:ウィルフリード・ロモリ
     コリントスの領主クレオンの娘:エレオノーラ・アバニャート


CS(シアター・テレビジョン)で放映していたものを録画鑑賞。有名なエウリピデスのギリシア悲劇(王女メディア)を題材としたアンジュラン・プレルジョカージュ振付のバレエ作品です。これは、やはり、まず、王女メディアの粗筋をしっておかないとダメですね。というわけで、私なりに把握している簡単な粗筋を。

イオルコスの王子イアソンは、叔父ペリアスに王位返還を求めていた。ペリアスは王位返還の条件としてコルキスから黄金の羊毛を持ち帰ることをイアソンに命令する。彼はコルキスの王女メディアに助けれられ、それを成し遂げるがペリアスは王位返還を拒否。メディアは魔術を使って彼を殺し、その罪でイアソンとメディアはコリントスに亡命することに。
イアソンとメディアは、ふたりの子供にも恵まれ質素ながらも幸せな生活をしていたが、ある日、コリントスの王クレオンがイアソンを娘婿にと望む。地位と名誉そして花嫁の若さと美しさに目がくらんだイアソンは、その縁談を承諾。イアソンの心変わりをなげくメディアに、さらにクレオンがメディアと子供たちに追放の命令を出すらしいという噂が耳に入る。メディアは復讐を心に誓い、イアソンの婚儀を祝うふりをし、婚約者に毒を盛る。更に、その毒の貢物は、自分の子供達に運ばせる。計画は成功し、婚約者と、それを助けようとした父クレオンが猛毒に苦しみながら死んでいくが、毒の貢物を運んだ子供達が領主殺しの罪で刑にかけられることになる。愛する我が子達が領主殺しの罪で他人に殺されるならば、我が手で子供らを手にかけようと決意する。


この作品、ストーリー自体に全く救いがないわけで、決して後味の良い作品ではないけれど、見ていて非常に引き込まれる作品で、バレエ作品として評価するなら、かなり好みの作品でした。
バレエ作品の構成としては、細かいストーリーは省略されており、

  ・子供とメディアの幸せな日々
  ・イアソンとメディアの幸せな日々(パ・ド・ドゥ)
  ・イアソンとクレオンの娘の出会い(パ・ド・ドゥ)
  ・イアソンとメディアとクレオンの娘の三角関係(パ・ド・トロワ)
  ・嫉妬に苦しむメディア
  ・我が子を手にかけるメディア
  ・一人残されたメデイア

という6つのパートで描かれている感じでした。とにかく、舞台構成すべてにおいて無駄がなく、それでいて明確に登場人物の状況を語る舞台となっており、振り付け自体も登場人物の心の機微を雄弁に語る振付で、それにダンサーの力量が上手くかみ合わさって、全体的に芸術的完成度の高い舞台だったように思います。
まずは、やはりメディアのマリアニエス・ジロの存在感。とにかく素晴らしかったです。ジロの体つきは、個人的にはあまり好みでないのですが、この作品では、ジロの身体が100%生かされていて、なんて美しい身体なんだろう!とひたすら見とれました。まず衣装が素敵なんですね。露出度の高い衣装でありながら、イヤラシサは皆無で、非常に高貴な雰囲気。ジロの体型にとても似合っていると思いました。ジロは、表現力もすばらしい。母親らしい母性愛と、異性に対する愛の表現の違い、そして嫉妬に苦しむ女の情念の部分、そういった心の機微がすべてが手にとるように伝わってくる。イアソンの子供(=自分の子供)を殺すことで、自分を裏切ったイアソンへの復讐もなしとげる、その情念の凄まじさと、そこに同時に宿る母親の悲哀を踊りきるジロは、本当に圧巻。当然、プレルジョカージュ振り付けもすばらしいのですが、その振りがまたジロに似合うんですね。本当に、雄弁に踊りきっておりました。これ、ジロ以外の人が踊るのを想像できないぐらいにハマっていましたから。
そして、エレオノーラ・アバニャートの存在も素晴らしかったです。非常に官能的で、それでいて下品にならない。イアソンが惹かれてしまうのがよくわかる。「嵐が丘」の映像の時にも感じたのだけれど、アパニャートって、コンテンポラリー系の動きが似合いますね。(クラッシックを踊ってるのを見たことがほとんどないのでエラそうなことは言えないのですが・・・。)顔立ちも風貌も凛としているので、とても美しくて、肩を大きく開いた衣装も似合っていて素敵でした。
そしてロモリですが、これまた、とても良かったです。ロモリをこんなにカッコイイと思ったのは初めてかもしれない。(笑)本当に、カッコよかった。ジロとのパ・ド・ドゥも、アバニャートとのパ・ド・ドゥでも互角の存在感を発揮していたし、パ・ド・トロワの複雑な動きの中心となっていて、見ていて非常にロモリというダンサーを頼もしく感じました。ロモリの衣装も素敵。あの艶光したシースルーっぽい素材、何でできてるのかな?ジロの衣装にも使われていたけれど、ジロもロモリもあの素材とシルエットが、とってもエレガントでセクシーで素敵でした。
脇役の子供達が、またとても可愛らしい。ジロの両脇で踊る姿も、とても絵になっていて、それだけにラストが強烈。でもあの衝撃的なラストの演出、私はとても好きです。バケツに入った血のりを子供達に塗りたくり、自分も血まみれになりながら、最後にバケツをかぶせてしまう。物語では、たぶん首を吊るして殺すんですよね。でも、「血まみれ」=「惨殺」を連想させる、あの演出は、非常にショッキングですが、物語の本質的な残酷さをとても鮮明に表現しているように思います。
後味のいい作品ではないけれど、どこか「夢」のような「非現実」っぽい余韻を残して終わっていくあたりも含め、全体的に芸術的完成度の高い舞台だと思いました。

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スレッドテーマ:バレエ ジャンル:学問・文化・芸術
 
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