メールマガジン JOLLYのお茶の間バレエ鑑賞記-シュツットガルト・バレエ団「オネーギン」(大阪フェスティバルホール)-

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2008年12月02日(Tue)

シュツットガルト・バレエ団「オネーギン」(大阪フェスティバルホール)

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シュツットガルト・バレエ団「オネーギン」(全3幕)
【会場】2008年12月2日 18:30開演 大阪フェスティバルホール
【音楽】P.I.チャイコフスキー
【台本・振付・演出】ジョン・クランコ(A.プーシキンの原作に基づく)
【編曲】クルト=ハインツ・シュトルツェ 
【装置・衣裳】ユルゲン・ローゼ
【芸術監督】リード・アンダーソン
【出演】
イリ・イェリネク(オネーギン)
アリシア・アマトリアン(タチヤーナ)
フリーデマン・フォーゲル(レンスキー)
カーチャ・ヴュンシェ(オリガ)
ニコライ・ゴドノフ(グレーミン公爵)
メリンダ・ウィサム(ラリーナ夫人)
ルドミラ・ボガード(乳母)
シュツットガルト・バレエ団(親戚、田舎の人々、サンクトペテルブルグの貴族たち)
【指揮】ジェームズ・タグル
【演奏】東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


念願のクランコの「オネーギン」全幕を見てきました。前回の来日時は東京公演のみ、しかも平日ど真ん中にルグリ客演という地方で働く勤め人へのイヤガラセみたいな日程で鑑賞叶わず、やっと「ルグリと仲間たち2007」でのルディエールとルグリによるパ・ド・ドゥのみ(参照記事こちら )を見ることができたものの、パ・ド・ドゥなんか見ちゃったら全幕みたくてウズウズしていたので、今回、やっと全幕が見れて嬉しい~♪ちなみにストーリーは、プーシキンの原作を読んで予習済み。(本のレビューはこちら

まず全編を見て感じたのは、クランコの振付や演出は、とても雄弁だということ。「ロミオとジュリエット」を見たときにも感じたのですが、台詞のひとつひとつ、感情のひとつひとつが迸り出てくるような振りと演出で、本を読んだとき以上に心に訴えてくるものが大きかった。一番感動したのは、1幕2場のタチヤーナの寝室での鏡のパ・ド・ドゥ。もう圧巻でした。イェリネクとアマトリアンのパートナーシップも、その空間の使い方や演出、振り付け、全てに感動。あれは、本当にクランコを踊りなれている人でないと出来ない阿吽の呼吸だと思いました。鳥肌がたつほど素晴しかったです。3幕の最後のタチヤーナの私室でのパ・ド・ドゥも、本当に情感豊かで素晴しかったのだけれど、こちらは、私の脳内に鎮座しているルグリ&ルディエールの残像の存在が大きすぎて、アマトリアンのタチアーナだと、ちょっと貴婦人の貫禄という点でルディエールのタチアーナと比べると、ちょっと物足りなさを感じたので。

今回のオネーギン役はイリ・イェリネク。長身で手足も長く、舞台栄えするダンサーで、非常に美しい。イリ・イェリネクのオネーギンは、舞台に現れた瞬間から、タチヤーナやオリガを含む村の人々のオーラとは全く異質で洗練されたエレガントさを発しながら、それでいて厭世的で非常にクールで冷めたな空気をたっぷりと身にまとっていおり、妙にカッコイイ人物でした。本を読んでも映画を見てもいまいちピンとこなかったオネーギンの気品だとかカッコよさにバレエを見て初めて気づいた。(苦笑) そりゃ、初心な田舎娘のタチヤーナがヒトメボレしちゃうわけだわと、妙に納得。 イリ・イェリネクは、踊りも、美しくて、キレもあって、とてもステキ。ソロのヴァリエーションもさることながら、パ・ド・ドゥのサポートとリフトが素晴しくステキ。クランコを踊ることに情熱を傾けてきたダンサーは、かくも素晴らしいのか!とひたすら感動。とりわけ1幕2場のタチヤーナとオネーギンのパ・ド・ドゥは、もう圧巻。めを見張るような高度なリフトも本当に流れるように美しく優雅で、オネーギンの風格を損なうことのない踊りにただただ見とれるばかり。あと燕尾服の裾さばきもステキ。イリ・イェリネクのオネーギンは、役作りも緻密で丁寧で、非常にオネーギンという人物を理解しやすかったです。もちろんクランコの雄弁な振付の効果もあるのでしょうが、とにかくこんなにもオネーギンという人物に感情移入できたのが自分でも意外。今までは、完全にタチヤーナに感情移入してタチヤーナの目線で鑑賞してきたのだけれど、今回は、ものすごくオネーギンという人物を身近に感じさせてもらいました。本当に素晴しかったです。

アリシア・アマトリアンのタチヤーナも、本当に初心な田舎娘っぽくて可愛い。以前、アリシア・アマトリアンのジュリエットを見たことがあるのですが、その時の印象と非常に似通った部分がある少女っぽい幼い可愛らしさ。ただジュリエットほど奔放でも無邪気でもなく、ちゃんとタチヤーナらしい内気な雰囲気に溢れている。幼さと初心さが滲み出ていて、とても可愛いけれど、オネーギンと並ぶと大人と子供といった感じの不釣合いな雰囲気が歴然と出ていて、そりゃ、オネーギンさんは相手にしないだろうと、オネーギンの態度や後半のストーリー展開を納得させてしまうぐらいに説得力があるタチヤーナ像でした。ただ、3幕1場でのタチヤーナは、もっと風格と貫禄があってもよかったかなーとも思いました。アリシア・アマトリアンの3幕のタチヤーナには、まだ少女っぽい危うさみたいなものを感じたので。ただ、これは、後でも述べますが、ニコライ・ゴドノフのグレーミン公爵にも原因があると思うので、アマトリアンだけのせいではないのかも。

カーチャ・ヴュンシェの演じた妹のオリガは、それこそジュリエット風の無邪気さや天真爛漫さを持ち合わせた雰囲気で、レンスキーと二人でラブラブしている姿が幸せオーラ全開で可愛らしい。

レンスキーを踊ったフリーデマン・フォーゲルは、ロミオといい、レンスキーといい、こういう役(=ちょっと底の浅いバカまっしぐらみたいな一途な役)が似合う人だよね。(笑) 毎回、とてもチャーミングなダンサーだなーと思います。前半の幸せ全開ラブラブ状態から、どんどん失速していくあたりとか、悲痛なようで悲痛でないというか、妙に思考がわかりやすくて可愛らしくて、オネーギンがちょっかいをかけてからかいたくなる気持ちがよくわかる。可愛いんだよね。よく子供が好きな子を苛めたりするけれど、あの感覚に近いんじゃないかしら? 思わず怒らせたくなるような可愛さを持っているし、浮かれて幸せすぎるのがカンに触るのもわかる。レンスキーが決闘を申し込んだ後、死を覚悟しての憂いを表す踊りですらも、冒頭のオネーギンの登場時の憂鬱のオーラに叶わないあたりが、役作りなのか、それともの元々のフォーゲルクオリティなのかわからないけれど、そこが非常にレンスキーっぽくて、本当に似合うなーと思いました。フォーゲルの踊りも美しい。とくに回転系は、軸が本当に真っ直ぐでブレなくて綺麗。跳躍が重めのダンサーだと思っていたけれど、今回、その跳躍も軽くみえました。あと、全体的に踊りが放つオーラが優しくて温かいなーという印象。私の中では、踊っているフォーゲルが放つオーラが、なんとなくマラーホフと同系統に感じました。

ちょっとだけ残念だったのはニコライ・ゴドノフのグレーミン公爵。何が残念かというと、彼のサポート(とくにリフト)。もう少しエレガントに、もうすこしタチヤーナ(アマトリアン)を美しく見えるようにサポートして欲しかったな。オネーギンと踊っていたとき以上にタチヤーナをエレガントに輝かせて見せてほしかったの。だって、それまでのタチヤーナ以上に輝いて見えないと、オネーギンが惚れ直すという流れに説得力がなくなるのだもの。残念ながら、タチヤーナとグレーミン公爵のパ・ド・ドゥは、他のどのパ・ド・ドゥよりも見劣りを感じちゃったので、3幕のタチヤーナが周囲を圧倒するほど魅力的な貴婦人に見えませんでした。それが残念。ただ、この場面でのオネーギンの萎れた&疲れたオーラがハンパなかったので(本当に素晴しいイリ・イェリネクの役作り!)、まあ、オネーギンよりもタチヤーナのほうが生き生きと輝いて見えたから、オネーギンとタチヤーナの関係だけで言えば、大きな違和感を感じるものではなかったです。

しかし、こんなに素晴しい内容だったのに、個々のダンサーの知名度が足りないのか、作品がマイナーだからか空席だらけ。もったいない!ちなみに、週末は兵庫県立芸術文化センターでシュツットガルト・バレエ団の「眠りの森の美女」がありますよー。少しでも興味のある方、新しくできた西宮のショッピングセンター詣でのついでにいかがですか?A席とB席は、まだチケットはあるみたいです。


原作はこちら。

オネーギン (岩波文庫 (32-604-1))オネーギン (岩波文庫 (32-604-1))
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スレッドテーマ:バレエ ジャンル:学問・文化・芸術
 
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